これまでの僕は、関係代名詞のあとに、簡略化されたものとして現在分詞・過去分詞を扱ってきました。新しいNew Horizon3では、現在分詞・過去分詞が先に登場します。また、その前段階に間接疑問文を学ぶ展開になっています。教科書の流れに合わせて、新出言語材料を段階的に「使いながら学んでいく」という流れで扱うことはできないか?を考え、個人的に興味をもって学んでいるTBLTの指導に使づけるべくチャレンジしました。
タスクについて
今回は、日本人生徒とクラスメイトの外国人生徒が、ある友人の情報をもとにして、その人物に最適なものや人を決めるために、意味交渉を行いながら合意形成を行っていきます。インフォメーションギャップのタスクであるため、AとBの2枚のシートをそれぞれがもちインタラクションをします。タスクの中で、場面が移り変わっていき、そのたびに会話を切り出す人物がAとBで変わっていく工夫が施されています。
活動の内容は自分自身のアイデアではなく、次の書籍をもとにして作成しているため、モザイク処理をしています。詳細を知りたい方は、ぜひご購入ください。生徒の実態に合わせて、3時間構成にして実践してみました。
授業の流れ
- プレタスク:AとBのワークシートをもとに目的や場面・状況の把握。制限時間などの説明。言語形式は指定せずに自由に活動させる。
- タスク活動(1回目):タスクに取り組んでいる間は、できるだけアドバイスや誤りの訂正は控える。必死に伝えようとしている内容面に目を向けて机間指導。
- 中間指導(内容面):タスクに取り組む中で、どのような選択や結論に至ったかを生徒に聞きながらやり取りしていく。
- 中間指導(言語面):理解型タスク(と呼べるかわからないが…)で言語形式に目を向けさせるために、別のワークシートで該当する人や物を選ばせる。詳しく説明しすぎることは避けるが、生徒の気づきを共有していく。
- タスク活動(2回目):相手をかえて同じタスクに取り組ませる。準備時間をとるほどに、生徒の意識がどうしても形式に向けられるため、すぐに活動に入らせた。
- 振り返り:内容面、言語面において向上した点や課題の共有。また、改めて文法解説プリントと板書を使って文法説明を行う。振り返りシートは以下のものを使用した。
第1時(間接疑問文)
- プレタスク:AとBのワークシートをもとに目的や場面・状況の把握。制限時間などの説明。言語形式は指定せずに自由に活動させる。
- タスク活動(1回目):タスクに取り組んでいる間は、できるだけアドバイスや誤りの訂正は控える。必死に伝えようとしている内容面に目を向けて机間指導。ワークシートは以下のものを使用。
- 中間指導(内容面):タスクに取り組む中で、どのような選択や結論に至ったかを生徒に聞きながらやり取りしていく。
- 中間指導(言語面):活動中の発話をワークシートに書き起こさせ、正確さを意識させる。生徒の発話からの板書、さらに発話を想定した以下のワークシートをもとに、例文を比較しながら間接疑問文の特徴に気づかせていく。生徒の気づきは共有しながら、自分の言葉でまとめさせた。
- タスク活動(2回目):相手をかえて同じタスクに取り組ませる。
- 振り返り:内容面、言語面において向上した点や課題の共有。
第2時(関係代名詞:人物)
- プレタスク:AとBのワークシートをもとに目的や場面・状況の把握。制限時間などの説明。言語形式は指定せずに自由に活動させる。
- タスク活動(1回目):タスクに取り組んでいる間は、できるだけアドバイスや誤りの訂正は控える。必死に伝えようとしている内容面に目を向けて机間指導。ワークシートは以下のものを使用。
- 中間指導(内容面):タスクに取り組む中で、どのような選択や結論に至ったかを生徒に聞きながらやり取りしていく。
- 中間指導(言語面):お互いの発話をワークシートに書き起こさせる。さらに以下のワークシートを配布して該当する人を選ばせる。詳しく説明しすぎることは避けるが、生徒の気づきを共有していく。
- タスク活動(2回目):相手をかえて同じタスクに取り組ませる。
- 振り返り:内容面、言語面において向上した点や課題の共有。
第3時(関係代名詞:もの)
- プレタスク:AとBのワークシートをもとに目的や場面・状況の把握。制限時間などの説明。言語形式は指定せずに自由に活動させる。
- タスク活動(1回目):タスクに取り組んでいる間は、できるだけアドバイスや誤りの訂正は控える。必死に伝えようとしている内容面に目を向けて机間指導。ワークシートは以下のものを使用。
- 中間指導(内容面):タスクに取り組む中で、どのような選択や結論に至ったかを生徒に聞きながらやり取りしていく。
- 中間指導(言語面):以下のワークシートを配布して該当する人を選ばせる。詳しく説明しすぎることは避けるが、生徒の気づきを共有していく。
- タスク活動(2回目):相手をかえて同じタスクに取り組ませる。
- 振り返り:内容面、言語面において向上した点や課題の共有。改めて文法解説プリントと板書を使って文法説明を行う。
まとめ
これまではPPPの流れで、関係代名詞から段階的に現在分詞・過去分詞へという流れでした。しかしタスクベースの授業を行うことで、「言いたいけれどうまく言えない」という状況を仕組みながら、新たな言語形式との出会いを演出できました。それによって、生徒が自ら必要感をもって使ってみようと四苦八苦している姿が印象的でした。
特に間接疑問文のような、教室環境の中で生徒が使用する必要のある場面を生み出すのに苦労をする言語材料においては、タスクベースの展開がピッタリであると思います。今回のようなタスクベースでの授業展開では、その形式だけでなく、どんな場面で使われるのか、どんな機能をもっているのかということも体得させることができました。これが、今回のチャレンジでの最も大きな収穫であったと思います。
活動後の中間指導や振り返りにおいて、かなり言語形式について触れたり、直接的ではありませんが使用を促している面があります。TBLTの考え方とは異なってしまうところかもしれませんが、今回は生徒の実態に合わせてそのようにしています。今後は、どの程度、言語材料に注目させるのか、練習の活動を入れるべきなのかなどについて、どうあるべきかを考えながら改善に努めたいと思います。
参考文献