English Classroom

中学3年間の英語の授業アイディア、英語教育についての考え・悩みを日々記録しています。

【まとめ】家庭学習のノート指導

田尻悟郎先生の「自学ノート」の実践をもとに、自分なりにもノート指導を試行錯誤してきました。過去の記録はこちら。

改めて田尻先生の指導方法の参照

ここまでやってくる中での自分自身の気づき

  • 「自主学習」という名前からか、「やってもやらなくてもいいもの=英語は家庭学習なし」という認識になる生徒もいる。
  • 自分は「宿題」として課すことを避けてきたところがあった。となると、「授業でしか英語の学習をしない生徒」が増えてしまう。「自主」のみにこだわってしまうのは良いことではなく、バランスが大切。
  • 宿題であろうと自主学習であろうと、学習する内容や方法は重なってくる。つまりは、こちらが全員に課すかどうかの違いか。やるように指示したことは宿題で、指示されていないけれど自分で課題や方法を決めてやったら自主学習。
  • 授業内で成果確認の場があって、評価につながる意識をもたせることが、自主学習への意欲につながりやすくなるだろう。そうでないなら、シンプルに宿題として全員に示すことを避けなくても良い。
  • リストを与えて示したら、課題内容を選べるでしょ?自己決定できるでしょ?と思っていたが、そうでもない。「選択できない・決定できない=何もできない」になってしまう。何かルールに従って進めていると、自然とうまくいくような支援となる工夫が必要だ。

そこで・・・こうしたいと考えた。

  1. 「家庭学習」=「宿題」+「自主学習」となる。プラスアルファでやる自主学習を推奨し、その成果は授業で確認できるシステムは大切に。
  2. 全てを委ねるのではなく、「宿題」として与えるべきものはきちんと示す。
  3. 4線ノートを「自学ノート」とすると、宿題の内容に取り組む際には別のノートが必要になってしまう。そこで、「コツコツノート」と改める。英語学習は宿題も自学も共通してこのノートを使う。
  4. 家庭学習の足跡を記録するのに、ここまでやってきた方法は有効だろう。
  5. 幅広い生徒にとってわかりやすく、最終的には学習習慣を身につけるのを支援するような新たな方法を作成したい。

以下に「これまでの方法」に「新たな方法」を組み合わせた方法についてまとめておきたい。

手順①:課題を示して見通しを持たせる

期間内に取り組むべき課題を一覧表にして示します。

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手順②:取り組み方を示す

 以下の説明書を配布、もしくはGoogleクラスルームでいつでも閲覧できるようにします。「4つのレベルから異なるものを3つ選択」というルールを設けているのは、そもそも自分で選択することが難しいという生徒の支援のつもりです。

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年度初めには必ず、そして取り組み状況が芳しくないときには改めて説明します。また、説明しただけでは分からないので、実際の授業の中で全員で体験しながらやり方を覚えてもらうことも大切にします。

手順③:学習状況で楽しく競いあえる方法を示す

 取り組みの状況は、文の数ではなく「世界地図のどこにいるか」という視覚的に分かりやすい方法で確認できるようにしました。

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これによって、友達同士でどの国まで到達したかを競い合ったり、教師も「勉強しなさい」と直接的に伝えるのではなく「そろそろ次の国に行こう!」など間接的に学習を促す声かけができるのではないかと考えました。

 これをノートに貼ると、新しいノートに切り替えたときに困ったり、提出のたびにボロボロになってしまいます。また、個人で管理していては競い合うムードは生まれそうにありません。そこで、FigJamを使ってクラスの仲間の進捗状況をいつでも確認できるようにしてみてはどうかと考えました。

このようにして人数分のマップを配置します。

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ズームしていくと、もっと細かく見えます。仲間の進捗も簡単に把握できます。

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もっとズームして自分のマップだけを見えるようにすれば、記入したり、マーカーで塗ったりとしやすくなります。(左上の枠には出席番号順に名前を記入させます。)

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手順④:個人用の学習記録表で、学習の振り返りとコメントを大切に

 FigJamのマップに一本化しようかとも考えましたが、常にパソコンが手元にあるとは限らないし、すぐに記録できる状況ばかりではないと思いました。そこで、これまでの実践で良かったアナログな方法を取り入れることで、デジタルとアナログのベストミックスになるのでは?とひらめきました。

まず、ノートの表紙には以下のプリントを貼ってもらいます。

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そして、家庭学習の前後には、まずは手元にある紙の学習記録にその場ですぐにメモします。あとでそれを見ながらFIgJamに記入していくという流れです。

 提出されたノートは、がんばって空き時間で点検していきます。生徒の取り組みや表紙の振り返りを見て、アドバイスしたり、質問に答えたり、叱咤激励したりします。学習を毎回振り返ったり、こちらもコメントがしやすいのが、この方法の利点だと感じています。

手順⑤:良いモデルを示す

 生徒の良い取り組みは波及効果を狙って、Googleクラスルームでシェアしていきます。授業冒頭に示しながら紹介することで、同じように取り組む生徒も増えてきます。

また、あえて英語学習に苦手を感じている生徒ががんばっている場合は、大きく取り上げることもあります。自信・やる気に繋げることを狙っています。

まとめ

 以上のように、「これまでの方法」と「新たな方法」のどちらを組み合わせるだけでなく、デジタルとアナログの両方の良さを生かすことで、さらなる工夫ができたと感じています。

 実際に導入してみると、提出されるノートの数がこれまでよりも多くて、空き時間はノートチェックで終わります。(数日で失速すると思いきや…うれしい悲鳴?)f:id:merasan:20240906193601j:image

レベル3やレベル4の内容は添削してあげなければならないので、時間や手間はかかりますが、生徒の毎日の改善と成長を感じることができています。また、ノート上での生徒とのやり取りが増えるので、生徒とのつながりは強くなるというのは改めて実感します。

 コツコツジャーニーマップをFigJamで共有していますが、生徒はお互いに楽しいやり方、役に立つやり方を学び合ったり、刺激し合っているようです。

どんどんいろんな機能を使いこなすので、僕の想像がつかなかった工夫をいろいろしてくれて、見ていておもしろいです。

 これからも、この取り組み状況が継続していくように、見守りつつ、試行錯誤していきます。

よろしければダウンロードしてお使いください

マップデータが欲しい方は以下からどうぞ。ちなみに、マップは全部で5枚あり、1年間で世界一周して日本に帰ってくるように作成しました。(全ての国を周るデザインはさすがに不可能でした…。)僕の作成したマップデータ(Wordファイル)は、以下にダウンロードリンクを貼っています。

※もとの白地図は以下のウェブサイトのものを使用させていただきました。(商業目的での利用は禁止とのこと)

ダウンロードの際にコメントくださる方、ありがとうございます。大変励みになります!

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