English Classroom

中学3年間の英語の授業アイディア、英語教育についての考え・悩みを日々記録しています。

公立中学校でも持続可能なオンライン授業の提案

 twitterではボチボチつぶやいていましたが、勤務校でのオンライン授業の取り組みについて、記録に残しておこうと思います。

職員への提案

 コロナウイルス対応で現場が混乱する中で、先生方の思いが少しずつ明確になってきました。

  • 生徒のために何かしたい、関わりたい
  • 復習中心で、新たな内容を教えられない焦り
  • 生徒の健康や生活について把握したい
  • 自分と家族の命を守るための在宅勤務の必要性

 これらの点について、何かできる手立てはないかと考えたときに、ICTの活用が最善であると考えました。そのときに参考にさせていただいたブログが次の記事です。

 教務主任の先生に相談したところ、僕の考えている案で、まずは職員への提案をしてみようと背中を押してくださいました。夕方から急いで資料の作成と、ホームページやG-Suiteの準備にとりかかり、何とか完成させることができました。次の日の朝、校長先生に相談すると、午後から臨時の職員研修を開いていただけることになりました。ちなみに、次の日から在宅勤務もスタートするため、職員全員が集まれる機会は、その日が最後でした。本当にラストチャンス。

 研修のスタート前から、先生方に警戒心をもたれてはいけません。できるかぎり、「手軽にできることなのかも」と気軽に参加していただけるように、スマホ持参で研修に参加してもらうことにしました。そして、この研修で使用したスライドがこちらです。

実際に体験してもらいながら、実際の生徒の視点をイメージしてもらえるようにしました。

オンライン授業の提案

 この提案で最も大切にしたことは「現実的に実現可能かつ持続可能なこと」です。スタートしたところで、生徒も職員もついてこれないのでは、全く意味がありません。誰にとっても「少し頑張ればできそう」な内容にしなければならないと考えました。そこで、zoomなどの会議システムでの双方向授業ではなく、「浸透した技術」と「気軽にできそうな技術」を活用することを提案しました。「浸透した技術」として「学校ホームページ」を、「気軽にできそうな技術」としてgoogle formsが使える可能性を示しました。

 また、動画などを自分で作ることは必ずしも必要ではなく、NHK for Schoolや文科省が紹介する動画などを活用すれば、負担の軽減にもなることもお伝えしました。ありがたいことに、先生方の賛同を得ることができ、次の登校日から早速動き出すことになりました。

登校日でのおためし授業

 分散登校の中で全職員で協力しながら、全生徒に「おためし授業」を受けてもらうことができました。勤務校の自治体は、昨年度からG-Suiteが導入されてはいましたが、生徒が家庭でも活用できるようにIDを配布することはしていませんでした。これを機に、まずは生徒に「学校用googleアカウント」を配布し、注意事項などを伝えました。そして次のプリントを配布して、学校ホームページとgoogle formsを活用した「朝の会」と「オンライン授業」を体験してもらいました。

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これによって、家庭のICT環境の把握と、生徒•職員からの反応を得ることができました。

オンライン授業からオンライン学習へ

 前日までの「おためし授業」で、生徒の家庭のICT状況はかなり整っていることがわかりました。そこで、「朝の会」と「オンライン授業」のどちらも、まずは試行として始めることに決定しました。ただ、家庭のICT環境が整っていない生徒には個別の対応(放課後に時間をとる、紙媒体で配布など)をすることになりました。

 また、「オンライン授業」となると、そのような生徒•保護者や、まだ抵抗感のある先生方にも負担となります。そこで、オンライン授業の時間割を組むのではなく、「家庭学習用の課題を出す際の選択肢」として認識していただき、「オンライン学習」と名前を変えることにしました。つまり、これまでどおりの紙ベースでの課題だけでなく、デジタルでの課題も出すことができ、それぞれの教科で取捨選択してもらうことにしました。

 以上のように整理して、次の案内を出して「オンライン学習」を試行しました。

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ホームページのデザイン

 これらのことは、僕一人で実現できたはずはありません。たくさんの先生方、特に同世代や若い先生方のサポートあって進めることができました。実際、ホームページを改修工事するのに活躍してくれたのは、僕よりも年下の先生です。僕にはない感覚や発想で、たくさんのアイデアを出してくれました。

 例えば、カレンダーに課題を一覧で載せてくれています。これで、生徒の課題把握が容易になるだけでなく、教員が教科間で課題量の調整がしやすくもなります。

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 また、各教科名を押すと、担当の先生の専用ページにジャンプするようにしてくれました。そのページは各先生方が自由に編集できるようになっています。これは僕のページです。

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 さらに、生徒に配布したプリントはいつでも見れるようにしたり、各家庭からのフィードバックをもらえるように、「質問フォーム」も設置してくれました。

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まとめ

 以上のようにして、4/23の提案から(GWを除いて)約1週間という短い期間で、試行段階ではありますが実際にスタートすることができました。保護者の方からは、ログインできないなどの場合は、学校に連絡をもらったり、質問フォームでのコメントがあったりと、こちらもすぐに対応することがしやすく助かっています。登校日の帰りの会のあとには、家庭でオンライン学習に取り組むのが難しかった生徒のために時間を設け、他学年の先生方とも協力しながら、学年の枠を超えてサポートしているところです。

 このような取り組みに発展したことの前提条件として、市教委が昨年度からG-Suiteを導入してくれていたことが挙げられます。学校独自の動きとしては、実現不可能であったのは間違いありません。

 また、先生方が前向きであるということも重要な要素の一つだと思います。例えば、パソコンが苦手でも一生懸命挑戦してくださる先生、最初は否定的だったけどやってみたら可能性を感じて取り組んでくださる先生、ホワイトボードを購入して自宅でYouTube 授業動画を作成してくれる先生、感染症対策のためのYouTube動画づくりにチャレンジしてくださった養護の先生など、すべての先生方の行動が僕の原動力です。さらに、オンライン学習の課題づくりでの新たな発見は、みんなでシェアしながら切磋琢磨しあうことができており、全員のニーズに合った意味のある研修の機会にもなっています。

 そして、この「オンライン学習」については、たとえ学校が再開したとしても、授業や家庭学習の課題として活用できる可能性を秘めていると実感しています。ある先生の、「たとえ出張で不在のときでも、オンライン学習課題を準備しておけば、授業ができるかも!」というアイデアには感心しました。

 もう一つ思ったのが、人前に立つのが苦手であったり、学校に登校しづらい生徒にとってのサポートができる可能性があるということです。実際に、普段はあまり質問したりしない生徒が、ふりかえりのformsにメッセージを書いていたり、なかなか登校できていない生徒が、誰よりも早く「オンライン朝の会」のformsで送信してくれていました。これには大変驚きました。在宅勤務でも生徒の様子が少しでも把握できるだけで、安心感につながることが分かりました。

 最後になりましたが、こんな僕を信頼してくださり、提案の機会を与えてくださった管理職の先生方、そして学校全体の取り組みとして推進してくださっている、勤務校の先生方に心から感謝しております。まだまだ課題はありますが、可能性はあります。よりよい取り組みにしたいです。恵まれた環境で、もっと力を発揮できるように頑張ります!!!

オンライン学習課題用に作成した動画の紹介

 こちらの記事に作成した動画を紹介しています。お気づきの点がございましたら、twitterかメールでアドバイスいただけたらありがたいです。