English Classroom

中学3年間の英語の授業アイディア、英語教育についての考え・悩みを日々記録しています。

英語の絵本を使った授業にチャレンジしてみました。

 小学校1年生の国語で「ずーっと、ずっと、大好きだよ」という読み物があったことを知っていますか?

 とても心に残る物語だったのですが、小学生という遠い記憶のため、完全に忘れていました。そんな中、小1の娘が国語の音読で、そのお話を読んでいてとても懐かしい気持ちになりました。ふと調べてみると、もとはアメリカの絵本だったことを知り、すぐにKindle版を購入してみました。すると、比較表現がたくさん使われていて英語学習にも最適だと感じました。また、自分の受け持つ生徒たちも、小学校の時に国語で学んでいることがわかりました。そこで、内容は原書でもぼんやりと内容を覚えているのではないか?懐かしさに浸りつつ楽しく読んでくれるのでは?と思い、これを教材として授業してみることにしました。

ちなみに原書はこちら。

これをスクショしながら、読みやすいようにGoogleスライドに貼り付けて、生徒用の絵本データを作成。これを閲覧ファイルとして配布しました。

こんな感じです。

第1時

  1. Teacher Talk(英語で絵本を読んだことがあるか?→目標:絵本を読んで考えを伝え合い、ブックレビューを書く→ペットは飼っているか?)
  2. Small Talk(TopicはPetsに指定→ペアでやり取り→T-Sで全体シェア)
  3.  1st Reading(テレビに絵本を映して、教師による読み聞かせ)
  4. Q1を提示(What do you think about the story?)
  5. 2nd Reading(Q1に答える内容を考えつつ個人の端末でそれぞれ黙読)
  6. Q1についてペアでやり取り→共同ジャムボード①に書かせる

  7. 3rd Reading(難しかった単語・文、内容が理解できにくい部分を共同ジャムボード②に書き上げていく)

第2時

  1. 4th Reading(改めてテレビに提示して、ALTによる読み聞かせ)
  2. 前回の共同ジャムボード②に生徒が書き上げたものを解説(MERRIER アプローチを意識して、英語のまま理解できるようにALTと協力しながら説明した)f:id:merasan:20240214192547j:image
  3. Q2を提示(If you were the main character, would you give Elfie's basket to the neighbor?)
  4. 5th Reading(Q2に答える内容を考えつつ個人の端末でそれぞれ黙読)
  5. Q2についてペアでやり取り→T-Sで全体シェア
  6. Q3を提示(What did you learn from the story?)
  7. 6th Reading(Q3に答える内容を考えつつ個人の端末でそれぞれ黙読
  8. Q3についてペアでやり取り→ジャムボード③に書かせる

第3時

  1. ジャムボード②に戻り、"I'll always love you."を取り上げる。(意味は分かっても、伝えていることを理解するのって我々のような日本人には意外に難しい英文だということを英語で伝える。)

  2. Q4を提示(If you were a professional translator, how would you translate?)
  3. 7th Reading(タイトルをどう訳すか?を考えながら再読)
  4. ジャムボード④に一斉に投稿して読み合う

  5. 実際の小学校1年生の教科書を読んで、プロの訳例を知る(思い出す)

  6. (時間があれば)気持ちを込めて音読
  7. 架空のオンラインブックストアにレビューを書くように伝える
  8. レビューを書く(Padletに入力)f:id:merasan:20240214192559j:image

まとめ

 今回、初めて絵本を教材として扱うということで、自分なりに手探りでやってみました。最初は、どんどん訳させてみようかな?とも思ったのですが、イラストなどを頼りにしながら「英語を英語のまま理解する」ということをさせなければ、絵本を扱う意義は薄れてしまうと考え直して、この流れで実践してみました。特に、ALTと一緒にMerrierアプローチを意識して、生徒にとって難しい表現について取り上げて解説した部分が、大切な流れだったように思います。

 小1の教科書で読んだということを忘れている生徒もいましたが、多くの生徒ぼんやりと記憶に残っていたようで、タイトルをどう訳したか?という場面で、実際の小学校の教科書を見せた時には、「懐かしい〜」という声がたくさん聞こえました。狙い通りの様子で、こちらとしてはニヤリとしました。

 読んだ内容について、気持ちや考えを伝え合うということで終わってもよかったのですが、何か新たなチャレンジをと思い、Padletをオンラインストアに見立てて、生徒たちにはレビューを書いてもらいました。自分自身が実生活の中で商品レビューを書いたことはなかったので、生徒の気持ちになって書く体験もできました。読み手を意識して書くために、良い体験になったのかな?と思っています。

Merrierアプローチ関連書籍など

酒井 英樹. (2000). 「MERRIER Approach のすすめ」. 『コミュニケーションと言語教育 (SURCLE) 第2号』

https://dl.ndl.go.jp/view/prepareDownload?contentNo=1&itemId=info%3Andljp%2Fpid%2F3497828