English Classroom

中学3年間の英語の授業アイディア、英語教育についての考え・悩みを日々記録しています。

英語で詩を書いてみよう③

英語で詩を書く授業に挑戦しました。前回までの記事はこちら。

 

今回は、ついに英詩を書く段階に挑みます。

英語通信で振り返り

 英詩を鑑賞した授業の感想を英語通信にまとめて、詩を読むことの楽しさを改めてふりかえりました。生徒たちの好意的な感想にうれしくなりました。

f:id:merasan:20200714183058p:image

英詩のモデルに触れさせる

 「さぁ、英詩を書きましょう!」と言って書けるはずがありません。そこで、まずは書きやすいテーマをいくつか提示して、選択できるようにしました。以下のプリントを配布しました。

f:id:merasan:20200714183111j:image

 テーマを提示したからといって、英詩が書けるなら苦労しません。生徒が目指すべきモデルが必要であると考えました。ただし、鑑賞したロセッティの詩はあまりにも素晴らしすぎて、中学生の目指すモデルとしては完成されすぎていると考えました。そこで、実際の中学生が書いた詩に触れる時間をとりました。以下のプリントです。

f:id:merasan:20200714183120j:image

ちなみに、中嶋先生のこの本にたくさんの中学生の英詩がまとめられています。

教室から解き放つ

 「では、書きましょう!」と言っても、無機質な教室の中では何の想像力も生まれません。普段とは違う特別な授業にすることで、生徒たちもきっとその気になるはず。そう考え、先ほどのプリントをもって、教室の外へ解き放ちました。(本当は、みんなで自転車でも乗ってピクニックにでも行けたら最高でしたが…。)仲の良い友人と一緒に、ひとりでゆったり、生徒たちは思い思いの時間を過ごしながら、感じたことをプリントにメモしていました。

f:id:merasan:20200714183516p:image

f:id:merasan:20200714183547p:image

 僕も歩き回って探してみましたが、なかなか浮かびません。なぜ、中学生はこんなにたくさん書けるのか?と思い、自分の枯渇した感受性に愕然としました。でも、暖かい春の日に、みんなで自然を眺めたり、自分や仲間と語り合ったりしながら、のんびりした時間を過ごせたのは、本当に素敵で贅沢なことだったと思います。

ついに英詩を書く

 この時間は2時間続きで英語の授業を組んでいただいていました。1時間目は先のように教室の外での活動、2時間目はついに英詩を書き始めました。驚いたことに、子どもたちは辞書を片手に、黙々と書きはじめたのです。

f:id:merasan:20200714183702p:image

伝えたいことが自分の中にいっぱい溢れたとき、生徒たちは自然に言葉を発するのだと実感しました。

こんな英詩を書いてくれました

 実はこの直後に、コロナウイルス対策で休校に突入してしまいます。休校中の宿題として、以下のプリントを配布して、試作版をつくってきてもらいました。

f:id:merasan:20200714183722j:image

いくつかの詩を紹介したいと思います。

  • 作品1

Why?

As if an angel

He can comfort my heart.

Why?

When he is always near me, my heart is fine.

I want you to remain like this for the next 3 years.

And I want you to keep shining on me.

 

ねえ、なぜ?

まるで天使のように

私の心を癒してくれる

ねぇ、どうして?

いつもそばにいてくれて 私の心を元気づけてくれる

あと3年はありのままでいてほしい

そしてこれからも 私の光でいてほしい

  • 作品2

The wind blows now

Wind gives me a ride.

Go forward, high up in the sky.

How far do you go?

You say, "You may go anywhere you like."

Wonderful! Wonderful!

How far do you go?

                                  -endlessly-

 

今、風が吹く

風は私をのせて

空高くすすむ

あなたはどこまでいけるの?

「君の好きなところならどこへでも」

すてきね!すてきね!

君はどこまでいく?

      -どこまでも-

  • 作品3

Water

I don't have colors.

So I can become many kinds of colors.

Do you understand this meaning?

In short I can be dyed my colors.

This is special, this is beautiful...

Let's search for my colors.

 

私は自分の色をもっていない

だから私はたくさんの色になることができるんだ

この意味、理解できる?

つまり自分色に染まれるってこと。

それは特別、それは美しいこと…

自分の色をさがしてみよう。

  • 作品4

Shade

I'm your shade.

I'm always by your side.

I like sunny

because I can play outdoors.

I don't like rain

because I disappear.

Today, it's sunny.

But...

You do nothing but play videogames.

Let's open the door.

 

かげ

私はあなたのかげ

いつでもあなたのそばにいるよ

私は晴れがすき

外で遊べるから

雨はきらい

私が消えてしまうから

今日は晴れだ!

でも

あなたはゲームをしてばかり

さあ、外へ行こう!

  • 作品5

The Sky

The sky has feelings.

For example, the sky weeps. The sky smiles. 

The sky is angry and the sky has troubles.

The sky is usually smiling.

I am saved by the sky.

How is the weather today?

How is the sky feeling?

 

空にも感情がある

例えば、泣いたり笑ったり

怒ったり困ったり

空は笑っていることが多い

私はそれに助けられている

さぁ今日の天気は何?

空はどんな気持ちだろう?

  • 作品6

One Leaf

Look at me!!

You always look at leaves as a tree.

It's good, it's beautiful...

But I want to be looked as one leaf.

Carefully more carefully.

When you look one by one, you are sure to discover new things about me.

Carefully more carefully

Each leaf, each leaf

Each leaf has a character.

These characters make a very beautiful tree.

So, please look at me...

 

私は1つの葉

私を見て!!

あなたたちはいつも1つの木として私たちを見る。

それもいい、それも美しい

でも でも、私は1つの葉としてそれぞれを見てほしい

ゆっくり、もっとゆっくり

1つずつ見たら、きっと君は新しいことを見つけられる

ゆっくり、もっとゆっくり

1葉ずつ、1葉ずつ

葉たちは、それぞれ個性がある

その個性がとてもきれいな木をつくっている

だから お願い私を見て

  • 作品7

Soap bubble

Someday, humans will disappear like soap bubbles.

But the bubbles and you are still shining until disappear.

 

シャボン玉

いつか、人間もシャボン玉のように消えてなくなる。

でも、シャボン玉もあなたも消えるまでずっと輝いてるわ。

まとめ

 今、いくつかの生徒作品を打ち込みながら読んでいると、改めて心に突き刺さるものがありました。中学生たちのこの純粋でみずみずしい感覚に触れられて、英語教師として幸せを感じます。

 あとは、この素晴らしい生徒作品を、どうやって全員で共有すればいいのか、まだ悩んでいます…。だれか、ベストな方法を教えてください。

追記

 この英詩を卒業文集にしました。この取り組みについてはこちら。