人とのコミュニケーション力を高める上で、そしてこれからの時代を生き抜く子どもたちを育成するために、「問う」という力は大変重要なスキルだと思います。英語の授業でも、その基礎となる質問する力を高めることができると思います。
そこで、「技能:疑問文を正確につくる力」と「スキル:インタラクションの中で質問する力」の2つの視点から指導法を整理しておきます。
技能:疑問文を正確につくる力
ここでは特に、生徒の意志とは関係のない例文を通しての機械的なトレーニングが中心となります。これまでの日本の英語教育で確立された方法で高めていくことができそうです。
- パターンプラクティス
- ドリル学習
- 瞬間英作文 など
僕自身は、ドリル学習として「トークアンドトーク」、瞬間英作文として「英文法マスター」などをやっています。(英文法マスターは自作なのですが、正進社のたて×よこドリルの方が洗練されているので、そちらの方がより体系的に学んでいけると思います。)
なかなか自分自身は授業の一場面に取り入れることができていないのですが、田尻悟郎先生は「下線部が疑問文になる疑問文づくり」を、以前にワークショップで紹介されていました。例文を示して、下線部の位置をセンスグループごとに変えながら、それぞれにショート・クール・ロングアンサーで答えるトレーニングだったと思います。
- Japan won the 1st place in the World Baseball Classic in Tokyo last month.
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- Japan won the 1st place in the World Baseball Classic in Tokyo last month.
- Japan won the 1st place in the World Baseball Classic in Tokyo last month.
ワークショップの時に、このthe 1st placeが答えになる疑問文って何だろう?とかなり悩んだのを覚えています。(How strong was Japan in the World Baseball Classic last month?)
スキル:インタラクションの中で質問する力
ここでは、生徒自身が内容も考えながら質問をするための力を高める指導法についてです。特に、話すこと[やり取り]の中で僕自身は行うことが主です。
- 聞いたり読んだりしたことについて、疑問文を作ってたずね合う場面
- テーマに沿ってお互いにやり取りしている場面
1については、Oral Introductionで教科書内容について触れたあとや、実際に教科書本文を読んでからなど、インプットした内容についての「問い」を考えさせることで、質問することの必然性、そしてより深く学ぶための興味関心を高めることにもなります。その際、クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンのどちらも作らせると良いのではないかと思います。
2については、僕は以下のビデオで授業をされている茨城県の木村先生の指導法を参考にさせていただいています。やり取りのあとにT-S Interactionを挟み、そこで質問を広げていく方法です。見たことがない方は、ぜひご覧いただければと思います。
さらに、この1回目のやり取りのあとの場面で僕はジャムボードで思考ツールを使って指導することも多いです。こんな感じです。
同心円チャートを使って、最も中心に近い部分から「1st Question」、外側にいくにつれて「2nd Question」「3rd Qurestion」といった深掘り質問(関連質問)が書けるようにデザインしています。そして、1回目のやり取り後には、自分がした質問、相手からされた質問をクラス全員でどんどん書き起こさせます。
まずは内容として優れた質問をピックアップして賞賛しながら、誤りのある英文については、どうすれば正確な疑問文になるかを考えさせながら修正していきます。
同僚の先生も気に入ってくださり、さらにYes/No Questionと疑問詞Questionを色分けする工夫をされて使っておられました。早速、盗ませていただきました。ありがたや。
まとめ
以上のようにして、質問力を高めるためにやっていることについて、「技能:疑問文を正確につくる力」と「スキル:インタラクションの中で質問する力」の2つの視点から整理してみました。他に良いアイデアがあれば、メールやTwitter で教えていただければうれしいです。