English Classroom

中学3年間の英語の授業アイディア、英語教育についての考え・悩みを日々記録しています。

大切なことは生徒が教えてくれる

 前回の記事から、フィードバックの重要性を改めて考えつづけながら、いかに自分が生徒を引き上げるための手立てができていなかったかを痛感しています。前回の記事はこちら。

英語の授業づくりに欠かせない教師の技術

 授業づくりをするうえで、教師に不可欠な技術として最近思っていること。それはシンプルに言うなら次の2つ。

  • タスク設定を上手にできる(授業準備の技術)
  • 生徒のパフォーマンスを向上させるための適切なフィードバックや指導の工夫ができる(授業中の技術)

 前者については、そもそも英語を使用するための適切さに関わるだけでなく、生徒が受け身ではなく主体的に生き生き取り組むモチベーションにもつながってきます。僕がこれまでに重点を置いてきたのは、こちらの方です。

「生徒が無味乾燥な表現でなく、自分の考えや思いを生き生きと表現してくれるような、心を解放できる授業」ってどうすれば作れるのだろうかと考え続けていました。つまり、前者の力を高めるために勉強しながら、「授業準備の段階」に最も心血を注いでいたということです。

 しかし、授業づくりに最大限の努力をしたからこそ、この授業を成立させることが最優先になっていたように思います。決して、生徒を適当に扱っていたわけではありません。ただ、いかに授業を上手に進めていくかということに力点が置かれてしまい、目の前の生徒の様子を観察する余裕がありませんでした。そして、授業中の生徒の反応をじっくりと楽しんだり、生徒の克服すべき課題に対して十分な指導をする余裕も当然ありませんでした。つまり、後者の「授業中の技術」を活用しながら、生徒のパフォーマンスを向上させることができていなかったということです。

「足し算」から「引き算」の授業づくり

 では、どのようにすればよいのでしょうか。僕なりの答えは「生徒を見るための余裕を授業の中につくること」です。そのために、授業の余分な部分をそぎ落とすことが必要になってきます。つまり、これからは「引き算」で授業づくりをする段階に入ったのではないかと思っています。これまで、様々な要素をつけ足していきながら、「足し算」のような授業づくりをしてきたからこそ、実現可能な気がします。できるだけシンプルにしていくことで余裕が生まれます。生徒たちの現状を把握する余裕、生徒とともに楽しむ余裕、生徒の課題に対して適切な指導を考える余裕、指導が効果的であったかを振り返る余裕、改めて指導を工夫して支援する余裕・・・

 教科書本文を扱うプリントもシンプルに

 中1は他己紹介の活動もひと段落したので、リテリングに挑戦しています。ゴールのリテリングに向けて、僕が身につけさせたい力をまずは厳選しました。

  • 主語と動詞を見抜く
  • 語順の感覚を身につける(合いの手読み・語順表指差し音読)
  • 文構造意識とリプロダクションへのつなぎ(虫食い読み)
  • 音のリンキングや欠落などを意識した音読(同時読み)
  • Q&Aの力(口頭でのQ&A・プリントでの設問)
  • 内容面と言語面の振り返り(振り返りシート)

さらに、教科書本文を扱うプリントも、かなり要素をそぎ落としたつもりです。

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実感として、生徒の様子を今まで以上に観察することができるようになったり、つまづいている生徒を待ってあげながら、彼らを一段上のレベルに引き上げるためのフィードバックや工夫を考えやすくなりました。

 また、今日の授業の中では、これまで成長が見えづらかった生徒の変化に気づくこともできて、心から嬉しい瞬間もありました。その反面、その生徒はこれまでも、少しずつ変化していたのにもかかわらず、僕が見落としていただけだという事実にも気づくことができました。

まとめ

 これまでは、自分本位の授業をしていたのかもしれません。僕がすべきことのヒントは、目の前の生徒たちの中にしかありません。大切なことは、生徒たちが教えてくれるのだと思います。もっと、生徒を中心とした授業ができる教師になりたいです。

おわりに(菅 正隆先生の名言)

 外国語活動を特別のものと考えないことです。ただ、教えるというスタンスではなく、児童とともに創り上げるものと考えるべきです。「英語」を教えるのではなく、活動を通して、「ことば」を育てるのです。そこには愛がなければいけません。「英語、英語」と言っても、EIGO(英語)からI(愛)を取ってしまえば、ただのEGO(エゴ)になってしまいます。愛のある外国語活動にしていただきたいと思います。