英語で詩を書くことに挑戦しました。なぜ英語の詩なのか?と思われるかもしれません。僕が英語教師として大切にしたいことを含めて、記録しておこうと思います。はっきり言って、この授業内容と展開は、かなり生徒にもハマリました。
英語学習者として英語を学ぶ喜び
僕は大学では文学部でアメリカ文学を専攻していました。英語の先生になろうとは心に決めていました。ではなぜ、教育学部を選ばなかったのか?と言われたときに、その当時の僕は「英語そのものを学ぶことに集中したい」と考えていたからで、その選択に今でも後悔はありません。もし文学部を専攻していなかったら、日常英会話やビジネスで必要となるコミュニケーションのための英語に触れようとするだけで、小説や詩などを読もうなどとは確実に思わなかったでしょう。
僕は軽い気持ちで、ウィリアム・フォークナーというアメリカ文学の最高峰の作家を研究している教授のゼミに入り、難解な表現と内容に苦労することとなりました。身の程知らずな自分であったと今でも思っています。しかし、そのおかげでアメリカの抱える黒人差別問題という暗い歴史にも少し触れることができました。現在、アメリカ本土だけでなく、世界中でBlack Lives Matterへの関心が高まっています。この経験がなかったとしたら、きっと僕の理解も及ばない上に、遠い国で起きている問題としかとらえられず、さほど関心をもつこともなかったと思います。
そんな中で、僕は英詩の研究をしている友人に誘われて、彼の入っているゼミの教授の授業を試しに受講することにしました。しかし、そこで僕は英詩を鑑賞する楽しさを感じることができました。
はっきり言って、英語の詩を理解するのは簡単ではありません。僕は基本的にチンプンカンプンでした。しかし、みんなで「あーでもない、こーでもない」と意見を出し合う中で、その言葉に込めた意味が分かってきます。時代背景や作者の心情などが明らかになってきます。みんなで知恵を振り絞った解釈を教授にぶつけてみると、それが全く筋違いであったり、逆に本質に迫るものであったりして、僕たちは一喜一憂しました。
そして、最後に教授の解釈を説明してくれます。その瞬間に、今までぼんやりして霞がかった視界が一気に広がって、これまでになかったイメージが頭の中に広がります。詩人が言葉に込めた思いが伝わってきます。さらに追い打ちをかけるように、教授がステキな発音と抑揚で、英詩独特の韻とリズムを心地よく響かせながら、音読してくれます。天気の良いあたたかい春の日に、外では小鳥がさえずっていました。僕は「ことばを学ぶって素晴らしいな」と感動したことを、昨日のように思い出します。
英語教師として英語を教える目的
そんな経験から、僕が英語教師として大切にしたい思っていることがあります。
- コミュニケーション英語にとどまらず、「ことば」を学ぶ喜びを伝えてみたい
- 生徒のみずみずしい、いきいきとした感受性に触れたり、高めたい。
英会話の英語力を向上させるだけであれば、そんなことに時間を費やしているよりも、別の言語活動をしたほうがよいはずです。当然、英語教師としてそのような力を生徒につけてやらなければなりません。でも僕は、「ことば」を教える教師として、ある意味「国語」のような授業を目指していると側面もあるといえます。
だからこそ、コミュニケーションのための題材だけでなく、小説や詩などの文学にも触れる機会をつくってやることができないか?と考え続けていました。僕が大学生で体験することができた感動を、ぜひ僕の生徒にも感じてもらいたい。大学生になってからでは遅いのです。感受性の豊かな中学生という時期だからこそ、必要なことではないかと思っています。
まとめ
そして、ついに英詩を書くという授業にチャレンジすることができました。しかも、Christina Rossettiという本格的な詩人の作品の鑑賞からスタートしました。ワークシートは以下のものを配布しました。
このワークシートを含めて、あまり公開したくないくらい、僕なりには自信のネタです。詳しくは、また次回。