3年間の集大成として、卒業スピーチにチャレンジしました。タイトルはいろいろ悩んだ末に"My Treasure"にしました。
1時間目は「中学校生活の思い出」についてのモデルスピーチを読んで、ペアでやりとりをしながら、「読む」から「話す」の技能統合の活動にチャレンジ。それについては以下の記事を。
2時間目は「感謝したい人」についてのモデルスピーチを読んで、グループで発表をしながら、「読む」から「話す・書く」への技能統合の活動をしました。この活動を通して、最終目標のスピーチの内容に向けてのブレインストーミングも兼ねています。
さらに、「書く」ではなく「話す」の場面での英文の正確性を向上させることにもチャレンジしてみました。
モデルスピーチを読む
次のような手順で読ませていきます。
- モデルスピーチを配布する。(例:過去の先輩のスピーチや、Sunshine 3より「感謝の手紙」を引用)
- 「感謝を伝える相手・その理由」を探すように指示し、目的をもたせる。
- 時間を与えて読ませる。
- ペア•グループで、選んだ答えとその根拠を話し合う。
- 意見を全体で共有。
- 答えにたどり着くためのポイントの確認。
話す〔やりとり〕への技能統合
次の流れで展開していきます。ワークシートは次の2枚です。
①(話し手用)
②(聞き手用)
①はB5 の表のみ、②はB4 の両面に4枚分印刷しました。
- 英文の内容をふまえてTeacher's Talkをする。
- 簡単な発問を入れながら、生徒とインタラクションを図る。
- 事実発問だけでなく、推論発問を投げかけ、生徒の深い読みにつなげる。(例:Who is Mr. Kato?)
- 生徒自身のことにつなげる発問をする。(例:Who is the person you want to thank?)
- この発問について、個人で発表内容を考え、ワークシート①にメモをする。
- 4人グループで1人ずつ、メモを参考にしながら発表する。
- 他のメンバーはワークシート②に、発表内容をメモしながら聞く。
- 発表が終わったら、ワークシート①②の下半分に、英文を書き起こしていきます。
- 発表者も含めてメンバー全員で相談しながら、英文を再現していきます。
- 話し手の発表での誤りに気づいたら、正しい表現にしながら書き起こします。
- ふりかえりシートに「見つけた誤り」「英語で言いたかったけど言えなかった日本語」を書かせます。
- 全体で情報共有をし、次の発表者へ。
- 手順の6~11を繰り返します。
- 最後にもう一度発表しなおし、パフォーマンスの向上を図ります。
- 宿題として、内容面についても整理をしながら改めて書いてきます。
話す〔発表〕での留意点
- 発表のメモは、キーワードを中心に書かせます。英文をメモすると、それを発表中に読んでしまうので、そのように指示します。
- 発表の際は、伝えたい大切なキーワードやチャンクに強勢を置いて話すように意識させます。
- 聞き手は、キーワードを中心にメモするように指示し、決してディクテーションではないことを意識させます。
- 英文の書き起こしは、話し手は一人称、聞き手は三人称で書かせます。(聞き手は話し手になりきって一人称で書き起こす方法もあり)
- ふりかえりシートを記入後に、全体シェアでしっかり学びを共有することで、2度目の発表の再チャレンジにつなげることが大切。
まとめ
このように、モデル文を読んだ後に、メモを頼りにしながら発表をしながら、技能統合の活動に取り組みました。しっかり書かせてから発表ということばかりでなく、即興に近い形でチャレンジさせていく機会を繰り返すと、生徒たちはだんだんとできるようになります。
また、書いた原稿を見直しながら正確性を高めていくのではなく、話すときの正確性の向上をあげるために工夫してみたつもりです。正確性の向上のために、お互いの誤りを指摘し合うことになるため、生徒同士や教師と生徒の人間関係が良好でないと成立しない活動であると思います。
生徒はがんばってくれていましたが、僕の想像ではもっと生徒が生き生きと活動すると思っていました。おそらく、「正確性」ばかりを意識させてしまい、話すときのプレッシャーになっていたのではないかと思います。また、生徒が振り返りシートに書いていたのは「内容」に関わることがたくさんありました。内容面について改めて整理したり、広げたり深めたりする機会を与えていなかったため、生徒の意欲を低下させたのだと思います。
このようにして、「話すこと」において正確性を向上させるチャレンジをしてみました。結局、「話すこと」の場面では正確性ばかりでなく流暢性が必要であり、「書くこと」の場面ではしっかりと正確性を意識させていくべきである思います。そして、「書くこと」で培った正確性が「話すこと」の場面で生かされるようにするほうが現実的であると考えました。また改めて、ワークシートや活動の改良をしたいと思います。