English Classroom

中学3年間の英語の授業アイディア、英語教育についての考え・悩みを日々記録しています。

英文法マスターで3年間の文法項目を総復習

 中3の秋ごろともなると、高校入試を意識し始める子がグッと増えてきました。さらに、模擬試験を受けてから、生徒たちの意識が変わり始めました。ちょうどその頃、生徒自身から「もっと文法をきっちり復習したい」という声が聞こえてきました。英文法の勉強は好きではなかったであろう生徒たちの意識が変わり始めたことに気づきました。(僕自身はゴリゴリと変態のように英文法を勉強したり、文構造をとらえながら英文解釈するのが好きなのですが…。)鉄は熱いうちに打て!今がチャンス!!!とばかりに、始めました。

(こんな「公式」ばかり覚える活動に効果があるのか?ということについては、僕自身も懐疑的なので、さらなる工夫については追記しています。)

英文法マスターとは

次のような A3 のプリントです。

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《左面》

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《右面》

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左列が「形」、右列が「意味」として文法項目ごとに整理しています。

英文法マスターの活動方法

  1. ペアで活動します。
  2. カウンターを各ペアに1つずつ配布します。
  3. ジャンケンをします。
  4. 勝者が出題、敗者は何も見ずに答えます。
  5. 始めは「形」を「意味」にするトレーニング。
  6. 慣れてきたら「意味」を「形」にするトレーニング。

活動の留意点

  • 全てを一度にやると時間がかかりすぎるので、番号で区切って取り組ませる。
  • 1秒ルール(1秒は待ってあげる)でどんどん出題していく。
  • 最初は見ながら取り組ませ、だんだんと見ずに活動させていくとよい。
  • 相手が答えやすいように、クイズ風に出題させる。

まとめ

 はじめは、あまりの内容と量に圧倒されていたようで、苦しそうに取り組んでいました。しかし、回を重ねるごとに自信がついていき、最終的にはこんな様子で活動しています。f:id:merasan:20200311084111p:image
周囲の盛り上がった声で自分たちの声が聞こえないため、パートナーと密着して真剣に活動しています。

 ただ、明示的知識をこのようにして覚えることの効果には、僕自身が確信を持てないところがあります。少なくとも、ひたすらに「公式」を覚えていっても、実際に英語の例文を介したり、コミュニケーションを通して学習していないわけで、「生きて働く知識」になるとは思えません。

 とりあえず現状では、入試問題を解く際に、読んだり聞いたりした英文の中に、何番の文法知識が使われているか、書くときに何番を使うべきかなどを知らせるなどして、公式を覚えること自体が目的にならないようにしています。 

 追記(新課程版)

 新課程での指導において、「コミュニケーションの中で使わせながら」の文法指導が必要とされています。知識・技能をコミュニケーションの中で使わせることで、言語材料がどんな場面・状況で使われ、どんな機能を果たすのかということへの「気づき」を促すことができると思います。

 ただ、授業中のコミュニケーションの場面を最大限に増やしても、残念ながら限界があります。新出言語材料を習得し、正確性を高めるための絶対量としては不足しているのではないか?と不安に感じているところです。「言語活動」の中での習得のみにこだわるのではなく、新出言語材料の操作に慣れるための「練習」の機会をとることも大切ではないでしょうか。「言語活動」と「練習」が相互に作用しあって、知識・技能の習得、正確性の向上につなげていくことができるのではないかと考えています。

 そこで、「文法事項の明示的知識」と同時に、これまでも大切にしてきた「語順」についてもっと意識してもらうためのトレーニングに改善しました。以下のプリントです。

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英文法マスターの活動方法

  1. ペアで活動します。(制限時間45秒)
  2. ジャンケンをしてプリントを交換します。
  3. 勝者が出題、敗者は答えを隠して答えます。
  4. 「日本語」を正しい語順の「英語」にするトレーニング。
  5. 3秒で言い切れない場合は、次の問題へどんどん進みます。
  6. 正解したら♡を塗りつぶしてあげます。

工夫のポイント

  • 全3回で終了し次のプリントへどんどん進む。同じプリントを繰り返し活用して、年間で何週も繰り返していき、自動化を目指す。
  • 右半分の語順表の中にある答えを消して配布し、枠内に正しく書く練習に使う。
  • 例文は購入している準拠ワークブックから抜粋することで、生徒たちは意識しないうちに、何度もワークブックを解きなおしていることになる。

追記(2023)

 自分で作るよりも、より洗練されたものがあると知ってしまいました。今年度からは、こちらを生徒に購入してもらって、授業の帯活動でスピードを競ったり、家庭学習の際に活用してもらっています。(語順の意識は薄れてしまうのは残念ですが…)

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