受身形・受動態の導入と能動態との違いについて説明しました。スライドは次のものを使用しました。
指導の手順
- 普段の授業始めのあいさつの流れで、What did you eat for breakfast?と自然に聞きやりとり。
- 答えに合わせて、How did you eat it? What do you use when you eat it?などと聞く。
- Chopsticks という発言に合わせて、スライドを見せながらリピートさせる。
- 次のスライドでWho wrote this novel? などと聞く。
- 受身形の文をリピートさせる。
- 次のスライドでWho sings this song? などと聞く。
- 受身形の文をリピートさせる。
- 最後の例文で、日本語での意味をペアやグループでさっと考えさせる。
- 過去分詞形の説明をする。
- 次のプリントを配布する。
- 受動態と能動態のニュアンスの違いについて説明する。
- ペアでBasic Dialogueの暗唱・暗写に取り組ませる。
まとめ
サクッと導入と文法説明をして、Basic Dialogueでの練習につなげました。受動態と能動態のニュアンスは違うので、タスキがけをして文型を変換させる説明はしていません。
生徒は反応していましたが、内容的には唐突であったり、1つ1つに関連がないのが課題です。
追記(新課程バージョン)
上記のまとめの内容を振り返って、特に教科書内容(世界遺産について)や単元のゴールを意識させるための質問を通しての指導に改善しました。「ALTの先生のニーズに合わせて、日本の世界遺産から1か所を選び提案する」ということが単元の最終ゴールにしています。(教科書はNew Horizon 2 Unit7 World Heritage sitesです。)
- 【単元のゴールの活動に向けて】ALTの先生のビデオメッセージを見て、①話者の最も伝えたいこと、②詳細な情報、③伝えるうえで必要なことを捉える。
- 【単元のゴールと近い活動をやってみる】ALTの先生に伝える内容を整理して発表してみる
- 【ゴールと現状を比較して】単元の個人目標を設定し、振り返りシートに記入する
- 【教科書の内容につなげていくつか質問】Josh visited one of the Japanese World Heritage sites. Do you know what this temple is? Who built it? Who selects World heritage site?
- ここで出てきた英文を板書する
- 【さらにTeacher Talkで教科書の新出単語の導入をする】I also want to visit World Heritage sites in Japan. If I can visit, I'll choose this place. Please look. →小笠原諸島についての説明+新出単語の導入
- 【教科書本文を読ませる目的をもたせる発問】Ogasawara islands are natural World Heritage sites. Are there other types of World Heritage sites? Can you find them from your textbook?
- この間に板書を追記していく
このように展開していくと、次のような板書が完成します。
この後、板書を使って受身形の意味や特徴への気づきを促しながら、用法についての整理をしました。次回以降は、教科書本文の中で改めてどのように文章の中で使われているかを確認したり、活動や練習を通してより正確に運用できるようにしていきます。
あれ?と思ったこと
「受身形って外国語学習者にとって難しい英文法だったっけ?」ということが疑問に浮かびました。そこで文法の習得順序について改めて調べてみました。しかし残念ながら、「受身形」がどのあたりに位置するかは分かりませんでした…。
第二言語習得の「自然習得順序仮説」|英文法が身につく順番 | ビジネス英語習得の本質
疑問をもった経緯
この疑問が浮かんだのには理由があります。上記の授業の後の、生徒の振り返りの記述を見ていくと、形式と意味についての理解はできているようで安心していました。その後、教科書本文の理解などを通して確認したり、繰り返し形式や意味の気づきを確認していったのですが、実際の活動の中で受身形を使うべきだと判断して表現することが難しい様子で、指導に手ごたえを感じませんでした。生徒に聞いてみたところ、「受身形の意味とか形は分かったけど…。日本語でもあまりそういう言い方をしないから、よく分からない。」という答えでした。つまり、受身形の明示的知識はあっても、その使いどころ(=機能?)を体感できていないのではないかと思いました。やはり、文法指導の際は「形式」「意味」「機能」の3点が大切なんだなと改めて感じたところです。
生徒たちの様子から、特に「受身形で質問するということ」が難しいようだったので、練習と機能を体感させるために、ワードクイズをすることにしました。今回はいつもと異なり、「パートナーはヒントを与えてくれないので、自ら質問をして答えを導いていく必要がある」という状況にしてみました。プリントは以下のものを使いました。
授業後に生徒にたずねてみると、「受身形ってどんな時に使えばいいか分かりました!今日で分かりました!」と答える生徒たちが印象的でした。きちんと「機能」まで掴むことができるように、練習にとどまらず言語活動の機会を仕組んでいく必要がありそうです。ちなみに、ワードクイズの詳しい流れはこちらです。