やりとりの力を高めるために、QA Battleという活動を帯活動で行なっています。
「やりとり」活動の課題と工夫
今までもQ&Aのペア活動を行なっていましたが、次のような課題を感じるようになりました。
- 「通じればいい」、「長く続いたからいい」というレベルにとどまる。
- ヤラセっぱなしになっており、生徒が伸長しているかを確認しにくい。
- やり取りの力が本当に鍛えられているかは、疑わしい。
そこで、次のようなポイントでの工夫をしています。
- やり取りのためのストラテジーを身につける。
- やり取りを生み出す「質問する力(疑問文をつくる力)」を高める。
- 質問に対してロングアンサーで答える力をつける。
- やり取りを繰り返すために、すばやく反応しあい、協力して活動する姿勢を養う。
- 中学3年生のディベート活動のために、必要となる力を身につける。
具体的な目的は以下のとおりです。
- すばやく反応しあい、積極的に会話を紡ぐ
- 答えにプラス1文、情報や意見をつけたす
- つなぎ言葉を使う
- あいづちをうつ
- 相手の発言を正しく理解できているか確認する
- 相手の情報から、関連した追加質問をする
QA Battleの手順と工夫
基本的にはペアでのQ&Aの活動です。ルールは以下のとおりです。
- 制限時間内に質問できた回数をカウントしポイントとする。
- 活動後にお互いのポイントを合計する。
- ライバルペアとポイントを比べ、勝利ペアを決める。
- 勝ったペアには「やる気シール」をあげる。
ペアのパートナーと対決するのではなく、合計点を他のペアと競うことで、協力して会話を紡ぐ姿勢につなげます。
QA Battleのパターン
- パターン1: 教師が作成した質問リストから順番(ランダム)に質問→ロングアンサーで答える《制限時間内に一方的に》
- パターン2: 教師が作成した質問リストから順番(ランダム)に質問→ロングアンサーで答える《制限時間内に役割交代を繰り返す》
- パターン3: 教師が指定した質問(例: What did you do last Sunday?)→ロングアンサーで答える(例: I watched a movie last Sunday.)→答えに関連した新たな質問(例: What movie did you watch last Sunday?)→ロングアンサーで答える(例: I watched Spider-Man last Sunday.)《制限時間内に一方的に》
- パターン4: 教師が指定した質問(例: What did you do last Sunday?)→ロングアンサーで答える(例: I watched a movie last Sunday.)→答えに関連した新たな質問(例: What movie did you watch last Sunday?)→ロングアンサーで答える(例: I watched Spider-Man last Sunday.)《制限時間内に役割交代を繰り返す》
※パターン1とパターン2は、まだ疑問文を自分でつくるレベルにない段階で(中1の3学期から中2の1学期半ばまで)
※パターン3とパターン4は、疑問文をある程度自由につくることができる段階で(中2の1学期半ばから)
※パターン2とパターン4は、より「やりとり」に近い経験をさせたいときに
QA Battleのバリエーション
以下にように、追加で課題設定することで、さらにチャレンジングな活動になります。
- 答えるときに、情報や意見をプラス1文しよう!
- つなぎ言葉で沈黙を避けよう!
- 相手の答えに、あいづちをうとう!
- 相手の情報に関する、追加の関連質問をしよう!
- 相手の答えについて、内容確認をしよう!
4についての指導のポイント
- Yes/No疑問文をつくる
- どんな(形容詞)、どのように(副詞)などの修飾語(句)をつけたして、細かく掘り下げる
- 主語を変える
- 時制を変える
- 疑問詞を付け足して など…
5についての指導のポイント
最も力を注いでいる部分です。代名詞変化、付加疑問文を操る力を鍛えることにもつながります。以下のように内容確認をさせています。
(例)
A: I watched Spider-Man last Sunday.
B: Wow!(まずはあいづちを)
You (代名詞変化を)watched Spider-Man last Sunday, right?(right?もしくは付加疑問を)
A: Yes.
まとめ
上記のパターンとバリエーションを組み合わせながら、目的としている力につなげたいと思います。中学1年生の3学期からスタートしましたが、中学2年生の2学期の時点で、パターン4+バリエーション5に慣れてきたレベルです。中学3年生でディベート活動を夢見て、あせらずコツコツと継続していきます!
追記
3年生の2学期も終盤になって、教科書が全て終了し、受験勉強に突入しました。ペアでやってきた座席も解体し、他の授業と同じ一斉授業の席に戻しました。受験問題をガリガリやるだけでは、これまでやってきたアウトプットの力も弱まってしまいます。またここまでに、一方的に意見を伝える力は高めてきたつもりです。そこで、一方的な発信を、双方向の発信につなげる練習に、久しぶりにQA Battleに取り組み始めました。
お題の質問を与えて2分間で会話をさせます。また今回は、意見•確認•関連質問をする回数は指定せず、会話の流れに合わせて自由にさせています。意見•確認•関連質問の数をカウントさせていき、相手に発言権を譲る時に消しゴムを渡します。ただし、消しゴムではカウントが難しいので、次のアイテムを使うと便利です。
終了後は、合計数が多いペアにシールを与え、20秒ほどでデモンストレーションさせます。現在完了形が会話の中でサラリと出てきたりして感心しました。どんな成果が見られるかたのしみです。