English Classroom

中学3年間の英語の授業アイディア、英語教育についての考え・悩みを日々記録しています。

事実発問と推論発問で「事実と意見」を分ける意識付けと、接続詞thatとbecauseを使わせながら身に付けさせる工夫

 中2の言語材料として重要度の高い接続詞。ここまで、従属接続詞のwhenやifを扱ってきました。

 今回は、教科書本文の内容について事実発問と推論発問で問いながら、生徒の発話を事実と意見に整理しながら、接続詞thatを使わせながら学ぶことができるように意識しました。

教科書内容

 教科書はNew Horizon 2 Unit2 "Food travels around the world" です。登場人物のジョシュは、カレーライスはインド発祥ではありながら、イギリスから日本に伝わってきていることを知り、調べた内容を授業でスピーチします。

 また単元の前半では、オーストラリア出身のメグと海斗が日曜日にカレーライス屋さんにいく約束をします。さらに、ブラジル出身のジョシュと朝美もカレー屋さんにいく計画をたてます。

 (教科書会社の思惑通り??)登場人物の「ダブルデート」にような展開に、生徒たちはかってに妄想してニヤニヤしたり歓声をあげます。こちらはそれをあえて盛り上げていきます。せっかくなので、この流れを利用して、「登場人物同士は付き合っているのか?」ということを考えさせて、I think that...を使う必然性や、becauseで理由づけをさせるきっかけをつくろうと仕掛けてみました。

 同時に、事実発問も交えることで、事実を伝える場面と、意見を伝える場面を行ったり来たりしながら、I think...を使うべきでなのかどうかを考えさせました。ここでは、黒板の上半分=事実、下半分=推測の意見と分けて板書していくことで、気づきを促しました。これによって、事実と意見に分けて伝えたり、理解したりする大切さに気づかせることを狙いました。

1時間目

  1. (既習の内容について)改めてPreviewのメグと海斗の会話の会話を聞かせつつ、事実発問(Why will Meg and Kaito go to horizon curry?)
  2. ペアで確認させたあと、何人か発表させる
  3. "Meg loves spicy food."などの発話を板書(事実=黒板の上半分)
  4. 次に推論発問(Is Kaito Meg's boyfriend or a just friend?)
  5. ペアで確認させたあと、何人か発表させる。
  6. ("He's Meg's boyfriend." などと断言したら)Are you sure? Do you really think so?などで切り返し、揺さぶる。
  7. (困らせておいて…)You think ...?と発話を促してみる。
  8. I think...と自然に使いはじめる。
  9. 発話をI think that...で板書して、視覚化しながら共有(推測の意見=黒板の下半分)
  10. すかさず、What do you think, S2?と他の生徒にたずねる
  11. I think…を使い始めるので、その発話も板書する(黒板の下半分)
  12. 次の推論発問(Does Asami love Josh?)
  13. ペアで確認させたあと、何人か発表させる。
  14. I think that...で答え始た内容を板書して視覚化(黒板の下半分)
  15. さらにWhy do you think so?とたずねる
  16. 生徒が教科書の過去エピソードを根拠としながら答える
  17. 全員で発表者の発想を称えつつ、発話内容を板書(黒板の上半分)
  18. (ここから言語面の整理へ)板書の上半分と下半分を比較させる
  19. 「上半分=事実、下半分=意見」という発言を引き出して板書f:id:merasan:20220612102716j:image
  20. その他の気づきを拾いつつ、接続詞thatについて説明

2時間目

  1. 前時を振り返りながら、推論発問(Does Kaito have a girl friend? Why do you think so?)と前回とは聞き方を変えて、類似の内容でたずねる
  2. ペアで確認させたあと、何人か発表させる
  3. 生徒の発話を拾って"I think that...because~."という英文を板書
  4. さらに推論発問(Does Asami have a boy friend?)と類似の内容でたずねる
  5. ペアで確認させたあと、何人か発表させる。
  6. 生徒の発話を拾って"I think that...because~."という英文を板書f:id:merasan:20220612102846j:image
  7. 板書を見ながら気づきを共有する(接続詞thatやbecauseで意見+理由を伝えることができる、接続詞が2つ使われて3文が合わさり長い1文になっている など)

まとめ

 以上のように、1時間目は、生徒の大好きな恋愛話で想像させながら、事実発問と推論発問、板書を活用しながら生徒に「事実と意見」を分けて捉えることを意識づけしました。その中で、接続詞thatを使う必要性をもたせたつもりです。

 想定した通り、教科書の過去のエピソードを引っ張り出して、登場人物の関係性について意欲的に説明しようとする姿勢が見られ、大変盛り上がりました。

 2時間目は1時間目と類似の内容をたずねることで、内容面よりも言語面に注意を払いながら発表できるように狙ったつもりです。(1時間目で話したい内容についてはブレインストーミングが終わった状態)

 また、becauseについては生徒たちにとってはお馴染みの表現なので、こちらが促す前に生徒たちが自然に使っている印象でした。ただ、接続詞というよりも「疑問文のWhyに対する答え方」として感覚的に使っているようでした。そこで、あえて英文のなかで使わせることで、従属接続詞としての用法であるということに気づかせたいと思いました。(ただ今後も、ライティングの中でBecause~.という誤った使い方が頻発すると考えられるので、繰り返し指導していく必要はあると思っています。)